- 食品科学科
水溶性食物繊維による腸管IgA産生誘導にD-アミノ酸が関与することを発見
2025年5月24日
水溶性食物繊維(以下、SDF)は、健康維持に役立つさまざまな効果を有しています。本学食品科学科の松本健司教授、東村泰希准教授、大学院生の野口綾夏さんらの研究グループは、SDF摂取による腸管での免疫グロブリンA(IgA)産生に関する研究を進める中で、D-アミノ酸の関与を明らかにしました。
IgAは、腸管内で病原体や毒素の侵入を防ぐ抗体であり、粘膜バリア機能や感染防御において重要な役割を担っています。これまで、SDFが腸内細菌によって短鎖脂肪酸に変換され、それがB細胞を刺激してIgA産生を促す仕組みが知られていました。松本教授らは、複数の異なるSDFを用いた研究の中で、これまで知られていた仕組みだけでは説明できない現象を見出し、新たな因子の探索を行ってきました。その結果、SDFの摂取により腸内細菌数が増加し、それに伴って腸内細菌が産生するD-アミノ酸(IgA誘導因子として知られる)の量が増加することを確認しました。さらに、D-アミノ酸量と腸管IgA量との間に強い正の相関があることも明らかになりました。
本成果は、SDF摂取によるIgA産生促進にD-アミノ酸が関与していることを示す新たな知見であり、食品成分による腸内細菌を介した免疫調節の理解を深める上で重要と考えられます。
本研究成果は、国際学術誌『Food Chemistry』に掲載されました。
掲載誌:Food Chemistry
DOI: https://doi.org/10.1016/j.foodchem.2025.144719
論文タイトル
Intestinal D-amino acids content is highly related to intestinal IgA production upon soluble dietary fiber ingestion in mice.
著者
Kenji Matsumoto, Ayaka Noguchi, Funa Miyamoto, Ryo Inoue, Hirokazu Hirai, Tomohiro Miwa, Yoshinori Nakagawa,
Yasuki Higashimura

