生物資源工学研究所
環境生物工学研究室
環境問題の視点から、化石燃料依存型社会からの脱却と、資源循環型社会の構築が求められています。環境生物工学研究室では、そんな21世紀型の社会確立に向けて、微生物機能を活用したバイオマス資源の有効利用、メタン発酵、バイオ燃料の生産などについて研究しています。また、これらの技術開発を実際に活用するための社会システムについても研究しています。
担当教員
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環境生物工学研究室では、環境中で利用されていない物質や私たちの生活・生産活動から排出される廃棄物からエネルギーや有用資源を産み出すことを研究しています。
例えば、石川県、そしてわが国は海に面していることから、そこで生産される海藻資源の有効活用は重要な研究テーマになっています。私たちは代謝を改変させた微生物を創って、海藻資源由来の糖質を原料にした有用化合物(油脂やテルペノイドなど)の生産を目指しています。さらに、海岸に漂着する海藻のヒメハマトビムシによる生物分解のメカニズムを明らかにすることで、海藻のさらなる有効利用に取り組んでいます。
また、廃棄物のエネルギー利用にもチャレンジしています。「メタンガス(バイオガス)」という言葉を聞いたことがありますか?メタンガスは微生物の力で生ごみや古紙などの有機性廃棄物から生産できる再生可能なエネルギーです。メタンガスは、都市ガスの主成分であるため、そのまま生活に利用できるだけでなく、電気にも変換できます。現在、私たちは牛の胃(ルーメン)に棲む微生物を利用して、雑草や農業残さからのメタン発酵を効率化させる研究をおこなっています(写真は,牛のルーメン液を活用したメタン発酵装置)。この研究が完成し,地域の公民館に小型のメタン発酵施設を置くことができれば,災害などで電気やガスの供給が停止したときでも、近所の公民館にいけば,“雑草から炊き出し用のガスや電気をつくる”ことができます。こんなメタン発酵施設があったら素敵だと思いませんか。
このように未利用資源や廃棄物の有効利用が求められているのは、現在の私たちの生産活動や資源利用のあり方が様々な点で限界に達しつつあるからです。そのため、持続可能な環境や社会を実現するための方策を考えていかなければなりません。また、このような技術開発と同時に“廃棄物をどのように集めてくるのか”、“得られたエネルギーをどのように活用するのか”、といったその技術群を実際に用いるための社会システムについても研究しています。
私たちと一緒にこの課題にチャレンジしませんか?