- 生物資源工学研究所
油脂原料から様々な工業製品が生産されていますが、大量に発生するグリセロールを含む廃液の有効活用が社会課題となっています。附属生物資源工学研究所 河井重幸教授、環境科学科(卒業生) 竹川そよか、同研究所 松﨑千秋 准教授らの研究グループは、ミヨシ油脂株式会社と共同で、油脂酵母Rhodotorula toruloides NBRC 8766株が、廃液中のグリセロールから細胞外多糖(EPS:主にマンノース糖分子が5万~10万分子連なった高分子)を生産することを見いだしました。
油脂酵母は本来、多様な炭素源を代謝して体内に大量の油脂を蓄積する微生物ですが、代謝が油脂生産からEPS生産へと切り替わるスイッチが、アンモニウム塩濃度、その代謝の結果として起こる培地の酸性化であることも分りました。EPSを生産する酵母としない酵母の形態の違い(下図)、EPS生産と油脂ならびに細胞内顆粒生産のトレードオフの関係も明らかになりました。現在、生産されたEPSがどのような役に立つかを調べています。
論文情報:
Ammonium ion concentration-dependent production of extracellular polysaccharides from glycerol by an oleaginous yeast: visualization of the producer cells
Soyoka Takegawa, Chiaki Matsuzaki, Taiki Hikosaka, Yuji Okabe, Koji Kawai, Shigeyuki Kawai
Microbiol. Spectr. 1-16, 2026. doi:10.1128/spectrum.00429-26