- 環境科学科
麦角菌や稲こうじ病菌のような植物に寄生する菌、昆虫に寄生してキノコを作る菌など、多彩な菌を含むバッカクキン科(麦角菌科)菌類の進化の謎に挑みました。本研究では遺伝子系統解析、化石に基づく年代推定、祖先の生活様式の推定を組み合わせて解析しました。その結果、バッカクキン科の植物寄生菌は無脊椎動物に寄生する菌を祖先として、少なくとも2回独立に進化したことが明らかになりました。これらの進化は白亜紀中期から後期に起こり、宿主となる単子葉植物が多様化し始めた時期と一致しています。本研究は植物寄生菌がどのように誕生したのかを理解するうえで重要な知見を提供するとともに、バッカクキン科内の「亜科」や「族」の新たな分類体系を提案しました。
本成果は、7月20日のMycoscience誌67巻4号に掲載予定で、2026年6月4日にオンライン先行公開されました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mycosci/advpub/0/advpub_MYC704/_article/-char/en
単子葉植物に寄生する植物寄生菌は系統的に大きく2つのグループに分かれた。このことから、植物に寄生する能力はそれぞれの系統で独立に獲得されたと考えられた。一方の稲こうじ病菌群(UstilaginoideaeおよびCommelinaceomyceteae)の起源は約7900万年前と推定され、新亜科Commelinaceomycetoideaeとして提唱した。もう一方の麦角菌・Balansia群(ClavicipiteaeおよびBalansieae)の起源は約9900万年前と推定され、亜科Clavicipitoideaeとして再定義した。