- 生物資源工学研究所
バイオエタノール生産に重要な酵素の耐熱化に成功
2025年3月5日
石川県立大学生物資源工学研究所の松﨑千秋講師と熊谷英彦参与、中島由香里研究員、食品科学科の本多裕司教授、小栁喬准教授らの研究グループは、京都大学、東北大学、大阪公立大学との共同研究で、バイオエタノール生産に重要な酵素β–グルコシダーゼの熱安定性を9.2℃向上させることに成功しました。
β–グルコシダーゼは、自然界に最も豊富に存在するバイオマスであるセルロースを分解する際に重要な酵素です。セルロースからのバイオエタノール生産だけではなくデンプンからのバイオエタノール生産においても原料の可溶性を高めるために利用されている酵素ですが、熱への安定性が低いことが効率的なバイオエタノール生産を妨げていました。
本研究ではβ–グルコシダーゼ遺伝子にランダムに変異を導入する手法および部位特異的にアミノ酸を置換する方法を用いて耐熱性を向上させることに成功しました。また、酵素分子の結晶構造を明らかにして、耐熱化に重要な構造変化を明らかにしました。今後、本酵素のバイオエタノール産業への利用が期待されます。
本成果は国際誌「Proceedings of the Japan Academy, Series B」2025年2月20日付オンライン版に掲載されました。

安定化によるβ-グルコシダーゼ構造の変化。水素結合やイオン性相互作用の導入など、安定性を強化する構造変化が認められた。
研究者情報