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能登半島の里川に棲むカワヤツメの人工ふ化に成功!地元小学生を対象に放流会開催
2015年8月18日
環境科学科柳井研究室では,能登半島の里川から捕獲したカワヤツメの人工ふ化に成功しました.カワヤツメは顎を持たない無顎類と呼ばれ,脊椎動物の最も原始的な形態を持つグループの生き残りです(写真1)。北海道から山口県まで生息する回遊魚ですが,全国的に大きくその数を減らし,環境省の絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。石川県においてもかつて能登半島の多くの河川に春季遡上し地域の食材として利用されてきましたが,現在ほとんど捕獲されなくなっていました。当研究室では平成27年4月に地元川漁師の方から能登町を流れる町野川に遡上してきたカワヤツメの提供を受け,蓄養して成熟させた後採卵し,人工孵化し(写真2)約1万尾の稚魚を得ることに成功しました.その稚魚の一部を使って7月23日,能登町との共催で地元柳田小学校6年生約20名を対象に放流会を行いました。当日小雨が降るあいにくの天気でしたが,カワヤツメの生態や人工ふ化について説明した後(写真3),顕微鏡を使った稚魚観察(写真4),地域に伝わる伝統的漁法の実演そして放流を行いました.この試みは地元の子供たちにカワヤツメの生態と保全の意義,そして地域のヤツメ文化を理解してもらい,貴重な地域資源を次世代につなげる一歩となると考えられます。この様子は,北國新聞,北陸中日新聞,読売新聞(http://www.yomiuri.co.jp/local/ishikawa/news/20150805-OYTNT50183.html),NHKテレビ,テレビ金沢,北陸朝日放送,石川テレビ,MROなど多くのマスコミで紹介されました。
写真1 カワヤツメの成魚.体長約50cm(荒川裕亮撮影) |
写真2 仔魚(受精29日目、孵化18日目,体長約8mm)(荒川裕亮撮影) |
写真3 小学生にカワヤツメの生態を説明 |
写真4 小学生にふ化稚魚の観察を指導する大学院生 |