生物資源環境学部

Bioresources and Environmental Sciences

石川県立大学 > 生物資源環境学部 > 食品科学科 CLOSE UP!

食品科学科

食品科学科 CLOSE UP!

食品が持つ機能を活かして、超高齢社会を生きる人々の健康寿命を延ばす
(食品安全系 食品衛生分野)

西本 壮吾 准教授

西本 壮吾 准教授

加齢に伴う疾患の予防に、食品の機能を役立てる

超高齢社会を迎え、日本国民の人口に対する高齢者の割合は増加の一途をたどっています。残念ながら加齢を止めることはできませんが、自分の意思で加齢に伴うさまざまな疾患を予防して発症時期を延伸させ、結果的に健康寿命を延ばすことは重要であると考えられます。私たちは、食品が持つ機能によって健康寿命が伸びることを期待し、免疫学を基礎とした抗アレルギー、骨代謝調節、皮膚科学の3つの評価を研究の柱として掲げています。

ツバキ葉に含まれる成分が、私たちの骨代謝を調節する

研究対象は脚光を浴びていない未利用資源であることが多いため、新たな付加価値の発見は想像以上に好奇心を満たしてくれます。最近の研究では、ツバキ葉に含まれる成分が骨代謝を調節する働きがあることを明らかにしました。現在、この研究成果に裏打ちされた関連商品の開発が進められており、人々の健康寿命の延伸に貢献できるものと期待しています。

「攻め」と「守り」の食中毒:グローバルからグローカルへ
(食品安全系 食品管理学分野)

nakaguti

中口 義次 准教授

 日本に住む我々の食卓には、他国には類を見ない多様な料理と食材が並んでいます。また、四方を海で囲まれた日本では、“Sushi”や“Sashimi”に代表される魚介類の生食文化が発 展してきました。このような食習慣を支える日本の魚介類自給率は60%程度であり、残りは諸 外国、特にアジア地域からの輸入に依存しています。さらに、健康志向や和食ブームに後押し され、魚介類の消費量は世界的に増加しています。このようなグローバル社会においては世界 規模の視点に基づき、食品の安全性の確保に取り組む必要があります。

 私は、理系の実験系の研究と文系の地域研究を経験し、それら両方のものの見方とアプ ローチで研究を進めてきました。これまで、東南アジアで各種の食中毒原因菌の病原性解析 と疫学調査を実施しましたが、このような研究では対象となる病原体の特徴を知り、病原体と 食品との関係を明らかにするほか、病原体、食品と地域固有の食習慣にまたがる学際的な研 究が必要です。そうすることで、これまで軽んじられてきたグローバル化の中での地域の固有 性を理解した、「グローカル化の食の安全の理解」に繋げることができると考えています。

大人数クラスでのアクティブラーニングへの取り組み
(食品基礎系 生体分子機能学分野)

ogura_1

小椋 賢治 教授

 最近の教育現場では、教員による一方通行の講義型式の授業とは異なり、学修者の能動的な参加を取り入れたアクティブラーニングが盛んになりつつあります。アクティブラーニングを導入すると、論理的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力を養うことができます。アクティブラーニングの方法としては、グループワーク、プレゼンテーション、体験学習などが挙げられます。いずれも少人数クラスでは実行可能ですが、100名を超えるような大人数クラスでは一方通行の講義型式をとらざるを得ないと、一般的には思われています。私は、一年次向け教養教育科目「有機化学概論」(履修登録者141名)でアクティブラーニングに取り組んでいます。

 私が導入したのは、ハーバード大のマズール教授が考案した「ピアインストラクション」です。この方法は、あるトピックについて短い講義をおこない、その後、コンセプテストという多肢選択問題を出題します。学生はクリッカー(小型投票端末)を使って回答を送信し、その結果はリアルタイムで集計されてスクリーンに投影されます。この時点では教員は正答を教えません。学生は集計結果を見ながら、なぜその選択肢を選んだのか、隣席の学生と議論します。そして、同じ問題で二回目の投票をおこない、正答率が上昇すれば、議論の効果があったことになります。最後に、教員が解説します。

 ピアインストラクションの授業を実施して、学生にアンケートをとりました。「参加型の授業で楽しい」「みんなの回答がリアルタイムでわかっておもしろい」「眠くならない」といった意見が多く、概ね好評なのですが、「予習してないとついていけない」という声もありました。今後は、大人数クラスでのアクティブラーニングをさらに磨いていきたいと思います。

 今年度は全学研究プロジェクト「アクティブラーニングの実践への取り組み」が採択されており、担当者全員で智恵を出し合いながら授業改善に向けて活動しています。

いろんな食品をもっと科学的に研究してみませんか?~加賀レンコンとグルテンフリー米粉パンの場合~
(食品機能系 食品素材科学分野)

O

本多 裕司 准教授

 加賀レンコンは石川県で良く見かける加賀野菜の一つです。加賀レンコンを使った料理は「モチモチ感」や「粘り」が良いと言われています。レンコンは水分を除くと半分以上が澱粉なので、加賀レンコンから得られた澱粉の性質を詳しく分析すれば、加賀レンコンの食感の良さを解明できるのではないかと考えました。茨城県産レンコンと加賀レンコンの澱粉の性質を比較分析してみたところ、加賀レンコンの澱粉の粒子が大きくて、糊化しやすいという事がわかってきました(J. Appl. Glycosci. 61, p27 (2014))。現在、生産農家の方に協力してもらい、加賀レンコンの粘りの良さの原因について、さらに追求しています。

 また、グルテンを含まない米粉だけで焼いたパンの品質改良にも取り組んでいます。小麦に含まれるタンパク質は水を加えてこねると、グルテンというタンパク質の網を作ります。発酵によってふくらんだパンは、グルテンがなければ焼いた時にしぼんでしまいます。グルテンを添加しないと米粉パンもふくらまないのですが、それだと小麦(グルテン)アレルギー患者の方は食べることができません。様々な糖や酵素を添加した結果、タンパク質を分解する酵素を添加すると柔らかくてふっくらした米粉パンを焼くことができる事がわかってきました(J. Cereal Sci. 61, p41 (2015))。いま、米粉のタンパク質と澱粉に着目した分析を進めているところです。

 これらの研究をする前は、試験管やフラスコなどを使って酵素と糖を分析する研究を私はしてきました。フードプロセッサーを使ってレンコンをすりつぶしたり、オーブンでパンを焼いたりするとは全く思いもよりませんでした。しかし、今までに培ってきたアイデア次第で学術的に研究を進める事ができるものです。研究室に所属する前には考える力を付けるために、文系理系を問わず幅広い知識を身につけておくことが大切だと思います。いろんな事を学んだら、おもしろくて誰もやっていない本物の研究を一緒にしましょう!

 

微生物の「ミクロコミュニケーション」から発酵食品の本当の姿を解き明かす 
(食品製造系 食品微生物学分野)

小柳喬 准教授

小柳 喬 准教授

 私達の食生活では、醤油、味噌、納豆やヨーグルトなど、たくさんの発酵食品が活躍しています。今、発酵食品の健康への好影響などがクローズアップされる例が多々ありますが、そもそも発酵食品とは何でしょう?それは、何千万個、何千億個といった微生物が食材の中で繁殖し、互いに生育を促進しあったり逆に排除しあったりしながら、「ミクロコミュニケーション」を繰り広げる場なのです。石川県の発酵食品「かぶらずし」や「なれずし」を伝統の製法でつくると、自然に乳酸菌が宿って、心地よい酸味と深い風味が出てきます。これは乳酸菌だけが偉いわけではなくて、何気なく存在する多くの種類の微生物たちが複雑なコミュニケーションをすることによって、最終的に乳酸菌の優勢化が促進されるのです。発酵食品の菌叢(きんそう:微生物の存在バランスのこと)を解析すると、そんな微生物たちの社会とドラマが見えてきます。

 約60兆個もの細胞が集まってできている私たちの体と違って、発酵食品の微生物たちは単細胞で行動する場合が多いのですが、一つ一つの微生物がお互いの役割を発揮しつつ発酵・熟成を進めてくれる姿は、正に生命力そのものです。発酵食品を研究するということは、そこに生きる微生物の生命力を理解するということに他ならないのです。そのために、それぞれの微生物の持つ遺伝子やタンパク質の機能、代謝物なども含めて、幅広く彼らに興味を持って、研究を進めています。

 発酵食品に限らずどんな食品も、有機物、つまり生き物から出来ています。食品から命をもらって生きている私達を見つめ直すことのできる食品研究の世界に、一人でも多くの若い学生さんが興味を持ってくれれば嬉しいです。

食べることは幸せなこと 幸せを届ける食品のエキスパートに 
(食品安全系 食品分析学分野)

小西康子 教授

小西 康子 教授

 私の担当する食品分析学は、食品に含まれている成分を分析する学問です。私たちは毎日多くの種類の食品を摂取して生きています。それらの食品には、水分、タンパク質、脂質、糖質、繊維、ビタミン、無機質など様々な成分が含まれています。これらの成分を正確に分析することは、食品の特性や品質、安全性を客観的に評価するために必要です。また、分析の基礎となる理論や原理を理解することは、分析値の持つ意味や限界を知ることにもなります。

 もう一つの担当である機器分析学では、食品を分析する際に使用する機器についてその原理と実際を学びます。食品科学科には最新の分析機器が多く設置されており、卒業研究や大学院ではこれらの機器を使いこなして研究を進めていくので、必要な学問です。社会へ出てからも機器分析の知識は、きっと役立つと思っています。

 学生実験では、食品基礎実験と食品安全学実験を担当しています。これらの実験では、食品に含まれるいろいろな成分の分析を行ったり、食品の安全性にかかわる微生物、アレルギーをひきおこす物質や残留農薬などの分析をしたりします。

 このように食品科学科では、講義と実験・実習が関連付けて組まれており、食品に関するあらゆる知識が自然に習得できるようになっています。食べることは人にとって幸せなことです。幸せを届けることができるような食品のエキスパートをめざしませんか?


PAGETOP