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石川県立大学 > 生物資源環境学部 > 環境科学科 > 学びの特色

環境科学科

学びの特色

白山山頂から能登の海岸をフィールドとして環境保全策、管理方法を考える(水環境管理系 地域水環境学分野)

藤原 洋一 准教授

藤原 洋一 准教授

水の森羅万象を調べる:水文学とは?

地球温暖化によって白山の雪はどの様になってしまうのでしょうか?森林には洪水・渇水緩和機能などがあると言われていますが、どのくらいの機能があるのでしょうか?また、水田は洪水を一時的に蓄えたり、周辺の温度環境を緩和したりしていますが、これらの機能をさらに高めるためにはどうしたら良いのでしょうか?こうした疑問を解き明かす学問を水文学(すいもんがく)といいます。私の研究室では、この水文学を用いて、2015年に手取川で発生した濁水が地下水環境へ及ぼした影響、金沢市周辺で問題となっている放棄竹林が水源涵養機能に与える影響などを調べて対応策を検討しています。

ドローンを使った新たな環境調査手法を確立する

車で走ることができることで有名な千里浜海岸の北部、羽咋市柴垣海岸には、イカリモンハンミョウという絶滅危惧種が生息しています。ハンミョウの生息には、平坦な砂浜海岸、適度な土壌水分、ハンミョウのエサとなるハマトビムシが集まる打ち上げ海藻などが必要不可欠です。従来、これらは人海戦術によって調べられていましたが、砂浜は広くまた暑くて調査は非常に大変です。そこで、私の研究室では、ドローンを使って、砂浜の微地形、土壌水分、打ち上げ海藻の分布などを一挙に調査できる手法を開発しています。そして、これらの調査結果に基づいて、イカリモンハンミョウが暮らしやすい環境を取り戻すための方策について検討します。

水路や河川の魚類のためのバリアフリー技術の開発(水環境管理系 地域水工学分野)

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一恩 英二 教授

 私たちの身近に流れている河川には、農業用水や生活用水を取水するための堰が設置されています。特に農業用水を取水する堰のことを頭首工と呼びますが、これらの頭首工や堰が設置されている場所には、魚類等が採餌場所や産卵場所へ移動できるように「魚道」と呼ばれる施設が設置されています。最近では農業用の水路や水田にも、この魚道が設置されるようになってきました。かつて魚道は、漁業者への補償を目的としていましたが、近年それは生態系の保全を目的として設置されるケースも増えています。近年の農作業の効率化・低コスト化をめざした圃場整備事業や水路改修事業によって、水田や水路を自由に行き来できなくなった魚類のために魚道が設置される事例は、そのひとつです。

 地域水工学研究室では、水田周辺の魚類のための「魚道」の研究を2005年から行っています。石川県中能登農林総合事務所が羽咋郡志賀町末吉の鷺池と下流水路の間に設置したトミヨ(トゲウオ科の淡水魚、石川県絶滅危惧種I類、石川県指定希少野生動植物種)を対象とした魚道に関して、室内実験と野外モニタリング調査を実施したことが、魚道研究のきっかけです。研究の結果、トミヨが遡上可能な魚道の条件を明らかにし、その機能を野外で検証することができました。その後、当時専攻していた一人の大学院生の発案で、通常は水路底面に垂直に設置する魚道隔壁を上流方向に傾斜させた魚道隔壁の模型を製作し、メダカとドジョウを用いた遡上実験を実施しました。その結果、隔壁1枚同士の比較では、上流傾斜隔壁が鉛直隔壁より優れた遡上性能を持つことが明らかになりました。現在は、その1枚の傾斜隔壁を用いた基礎実験を実施している段階で、基礎実験で高い性能を発揮した隔壁を用いて魚道模型を製作し、魚道全体の遡上機能の検証を行う予定です。

土の中の熱・物質の流れを把握し、評価し、制御する(田園資源活用系 農地環境学分野)

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百瀬 年彦 准教授

 農地環境学研究室は、人と農地との関わりに問題意識を持ち、環境と調和する農業の実現に向けて適切な農地管理のあり方を根源から探ります。

 地球誕生から長い年月を経て、岩石は風化作用を受けて土になり、その土は豊かな生態系を育みました。土の物理的・化学的環境の不均一化と生物の多様化とが進むなかで、土は自らの肥沃度を高めつつ生命のつながりを支えてきたと考えられます。その肥沃な土をもとに、農地が作られました。そこでは現在、主として単一の作物が栽培され、化学肥料や農薬が使われ、重機が用いられるなど、系を単純化する方向で農業が営まれています。系の複雑さが増すとともに肥沃な土が形成された過程を考えれば、現在の農業が、農地にさまざまな問題を引き起こすことは、当然の結果と言えるのかもしれません。

 適切な農地管理のあり方を見いだすため、土の中の熱・物質移動に着目しています。土の中では、太陽エネルギーを原動力として、熱・物質が絶え間なく流れ、その流れは地中環境を刻々と変化させています。農地での流れが自然界のものとかけ離れていけば、農地には自然界と大きく異なる環境が形成されるわけです。適切な農地管理とは何なのかー農地の熱・物質の流れを自然界に近づけることだというビジョンを持ち、学生とともに研究を進めます。

 研究室の学生は、農地環境を構成する多くの要素から1つを選択し、野外計測や室内実験を通じて研究を行い、土の中の熱・物質移動の把握、評価、制御につなげます。実験装置や計測センサーについては、測定原理をより深く理解することを目的として、できるだけ自作してもらいます。そのために必要なノウハウは、必要に応じてひとつひとつ伝えていきます。

 地球の歴史を踏まえれば、土が持つ極めて重要な機能とは地球の生命をつなぐことだと思います。人の生命のみをつなげようとする単眼的思考の農業からの脱却を目指し、土の中の熱・物質の流れを自然界に近づけた農地づくりに取り組みます。

日本“最高”の場所で地球を観る(田園資源活用系 大気環境学分野)

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皆巳 幸也 准教授

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  標高3,776メートルの国内最高点である富士山頂は、「頭を雲の上に出し」と歌われるとおり上空の大気に触れることのできる貴重な位置にあります。そこでは、近隣にある汚染源からの影響は受けず、むしろ地球規模で大気中を輸送されてくる様々な物質の様子を明瞭に捉えることができると期待されます。実際に、昨年の夏は九州の桜島での噴火により放出された二酸化硫黄(亜硫酸ガス)などの火山ガスが、また以前にはシベリアの森林火災で発生したと思われるススが検出されました。更には、いま話題となっているPM2.5の動向についても、特に大陸域から輸送されてくるものの影響を調べることに着手しています。

 しかし、富士山頂が常に雲より上にあるわけではありません。例えば、山頂に笠雲が懸かっている、ということもあるのです。笠雲が様々な形で姿を現し、それを見て人々が今後の天気を経験的に予測していたことも、特に富士山では著名です。さて、そのような状況にある時の山頂は、また違った研究の場となります。それは、先に挙げたような色々な物質が、今度は霧粒(雲粒)として、つまりは水に溶けた形で浮かんでいるのです。そこでは、いわゆる酸性雨が形成されるのと同じことが起こっており、そうしたメカニズムを解明する絶好の機会となるのです。右上の写真で私の奥に見えるのは、そのための“雲をつかむ”装置です。

 山頂は酸素が地上の70パーセントほどしかなく、すぐに息切れしてしまうハードな場所ですが、満天の星や果てしなく拡がる雲海など、高い山ならではの風景も欲しいままにできる“最高”の場所でもあります。そんな絶好の環境で、地球の大気を肌で感じてみませんか?

身近な生き物たちのつながりから,生物多様性に切り込む(生物環境保全系 植物生態学分野)

北村俊平 准教授

北村 俊平 准教授

 現在,陸上生態系でもっとも生物多様性の高い地域の一つである熱帯雨林では,森林伐採や狩猟などの人間活動により,そこに暮らしていたさまざまな生物たちが絶滅の危機に瀕しています。一方,日本の里地・里山では,人間による自然に対する働きかけが減少した結果として,絶滅の危機に瀕している生物たちも数多くいます。現在,生態系はどう変化し,人間活動が生態系にどのような影響を与えてきたのでしょう?元来,生息していた生物が絶滅するとどのようなことが起こるのでしょう?

 それらの疑問を解明するアプローチの一つとして,植物生態学研究室では,主に森林生態系における植物と動物とのつながりに着目した研究に取り組んでいます。一度定着してしまうと自ら動くことのできない樹木が移動できる数少ない機会が花粉と種子の時期です。森林生態系の基盤となる樹木において,それらの花粉媒介や種子散布というシステムは,昆虫や鳥類・哺乳類などの動物とのつながりが重要であるという点で,研究のよい切り口となります。例えば,農作物の大部分は,昆虫や鳥などによって花粉が運ばれます。また,果物も元々は植物がその種子を運ぶ鳥や獣を呼び寄せるために進化してきたものを人為的に改良したものがほとんどです。

 石川県内のさまざまな自然環境(石川県立大学キャンパス,石川県林業試験場,白山のブナ林)や東南アジアの熱帯林(タイ)を対象として,そこでの野外調査から得られたデータを科学的に解析し,国内外の知見と照合することで,上記の疑問に答えることができるのではないかと考えています。自然を観察する目を養い,そこに隠された面白い現象を発見し,その謎を紐解くことで,生物多様性について考えてみませんか?

良好な農村社会・自然環境を維持するための地域のあり方を科学する(里山里海創生系 地域計画学分野)

山下良平 准教授

山下 良平 准教授

 自然環境を守り,同時に自然環境から恩恵を受けて生活することで社会を維持しているのが人間です。農村社会を見てもかつてのような農業一辺倒の生活ではなく,近年では多様な世代・立場の人達が生活する中で相互に協力し,時に意見対立を繰り返しながら維持されています。人間社会も環境もお互いそれだけでは持続可能なものとはなり得ません。

 もし地域住民や都市住民らが好き勝手に自然環境を消費し,負担を伴う管理を疎かにしても持続可能な社会や環境が保たれるならば何も問題はありません。しかし,残念ながらそのような状況では深刻な過疎問題や環境破壊の問題は解決しません。今私たちの身近にある農村地域に目を向けると,過疎化,耕作放棄地の増大,農産物市場の国際化,里山里海の担い手不足,生物多様性の保全など,多くの課題が目にとまります。それらを解決し,美しく豊かな農村を守っていくためには,地域の「計画」や「ルール(仕組み)」が重要となります。

 私が属する地域計画学研究室は,人間活動と環境・農業,さらには都市と農村の関係に注目しながら地域社会の課題を捉えて,根拠に裏付けられた計画案や解決策を導き出すための調査研究を行っています。教科書的な基礎知識の習得にとどまらず,地域社会が直面する課題やその原因を正確に調べて,自身なりの考察が適切であるかを現場で確認するという「理論と現場の往復」を心がけています。

 農村社会や自然環境の将来像を考え,美しい農村を守るための問題解決や地域活性化について,ぜひ一緒に取り組みましょう!


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