研究テーマ:小栁 喬
<芳香族アミノ酸代謝を中心とした微生物機能解析>
微生物がもつ様々な代謝経路の中で、芳香族アミノ酸代謝関連の遺伝子・タンパク質群に注目した機能解析を推進しています。芳香族アミノ酸のα位のカルボキシル基を取り除く「芳香族アミノ酸脱炭酸酵素」は、ピリドキサール 5′-リン酸を補酵素とするビタミンB6酵素です。この酵素は、高等生物から微生物にいたるまで広く存在する酵素ですが、動物においては神経伝達物質であるドーパミン(3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)やセロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン)といった物質を生み出したり、植物においてはアルカロイドに代表される様々な二次代謝産物を生産したり、また、ワインやチーズなどの発酵食品の中でも乳酸菌などの微生物が本酵素の作用で芳香族アミンの一種であるチラミンを生成するなど、多岐にわたる作用・役割を担っています。食品微生物学研究室では、微生物由来の芳香族アミノ酸脱炭酸酵素に注目して、その構造機能の詳細に迫る研究を展開しています。
その他、酵母に遺伝子改変を施して芳香族化合物(香気成分等)の産生量を向上させる研究なども行っており、広く芳香族アミノ酸誘導体の生理活性に着目し、酵素機能解明・遺伝子改変による有用菌株の育種などを進めています。